今回は、独創的な卓球で相手を惑わす、最も勢いのある若手選手の一人、出澤杏佳(大成女子高)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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出澤杏佳とは?
出澤杏佳は、2年連続で全日本選手権一般の部ベスト16入りを果たすほか、2019年の同大会ジュニア女子シングルスで初優勝を飾るなど、最も勢いのある若手選手の一人です。国際大会やTリーグにも参戦し始め、さらに実力に磨きをかけています。
フォア面に表ソフト、バック面に粒高ラバーという珍しい組み合わせで幼いころから全国大会で活躍するなど、その類まれな才能やセンスを評価されてきた選手です。その戦い方は格上相手をも困惑させます。写真:出澤杏佳/提供:©T.LEAGUE
プロフィール
出澤杏佳は、2002年6月28日生まれの17歳(2020年5月時点)です。茨城県の水戸市出身で、県内の強豪である大成女子高校に在籍しています。小学4年生の時には全日本選手権カブの部で2位という好成績を残すなど、小学生時代から並外れた才能を評価されてきた選手です。小学1年生からコーチの助言のもと現在の戦型になり、扱いが難しい異質ラバーを幼いながら駆使していました。
元々同世代の中でも抜きんでた実力を持っていた出澤が一躍有名になったのは2019年の全日本選手権ジュニアの部でのことです。出場者の中には長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)や木原美悠(JOCエリートアカデミー)など国際大会で実力を高める強者達が勝ち上がっていました。出澤は4回戦で小塩遥菜( JOCエリートアカデミー/星槎)に接戦で勝利すると、その後も勢いに乗り、準決勝で長﨑に3-1で勝利しました。決勝では、準決勝で木原に勝利した大藤沙月(四天王寺高校)と対決し、3-1で優勝を決めました。
国際大会でも同年に行われたアジアジュニア&カデット選手権でジュニア女子シングルス準優勝を含む3種目での入賞を果たすなど活躍しました。このほか、Tリーグ・トップおとめピンポンズ名古屋に加入し2019/2020シーズンに参戦していました。
写真:出澤杏佳/提供:ittfworld
プレースタイル
出澤杏佳の戦型は右シェーク表粒の異質攻守型で、バックハンドでの変化を活かしたブロックとプッシュ、フォアハンドでの隙を狙ったスマッシュが特徴です。
両面に異質ラバーを貼る選手は世界の中でも希少で、なかなか見かけることはありません。その希少性から対策の取りづらい選手と言えます。バック面に粒高を使用するトップ選手もカットマン以外の戦型の選手の中ではとても珍しく、国際大会に出場すると球質が合わないため予想外の展開が生まれやすくなります。2020年の全日本選手権では、東京五輪代表候補の平野美宇(日本生命)に4-1で勝利して2年連続のベスト16入りを果たすなど、番狂わせを起こすことができる選手と言えます。
また、出澤はラケットを回転させて瞬時にフォア面とバック面を入れ替えることがあります。バックハンドでは粒高の変化を用いたブロックやプッシュを多用しますが、ラリーの中でさらに変化をつけるためラケットを回転させて、表ソフトで打球し相手のミスを誘っています。
使用用具
出澤杏佳はNittakuの契約選手で、ラケットは薄いスポンジを用いる異質ラバーの使い手に合うように重量がやや重めになっている「剛力」を使用しています。ラバーは、フォア面にVICTASの表ソフトラバーである「VO>102」、バック面にTSPの粒高の一枚ラバー「カールP-H OX」を使用しているそうです。
一枚ラバーの特徴としては、スポンジのついたラバーよりも打球の威力を吸収する力が強く、変化の激しいブロックを打つことが可能になります。しかし、スポンジがない分弾まないため、主に前陣での守備用として使用する選手が多いです。
世界ランキング
出澤杏佳の世界ランキングはシニアで302位、U21で95位、ジュニアで52位(2020年4月時点)です。シニアの世界ランキングには2019年の6月から登録されました。最高ランクは2020年2月のシニアで294位、U21で88位、ジュニアで48位です。
国内大会での主な成績
2012年 | 全日本選手権カブの部 | 女子シングルス準優勝 |
2019年 | 全日本選手権 | 女子シングルスベスト16、ジュニア女子シングルス優勝 |
国際大会での主な成績
2019年 | アジアジュニア&カデット選手権 | ジュニア女子シングルス準優勝、女子ダブルス3位、女子団体3位 |
世界ジュニア選手権 | 女子団体準優勝 | |
クロアチアオープン | U21女子シングルスベスト4 |
まとめ
異色の組み合わせで自らのプレーを創作する期待の若手が、国内そして国際大会でどのようなプレーを見せてくれるのか。今後の彼女の活躍に目が離せません。
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