昨年初めて世界選手権シングルスに、ドイツ代表として出場を果たした邱党(キュウダン)を紹介します。名指導者である邱建新を父に持ち、幼いころから父に卓球を教わってきたそうです。そんな邱党のプロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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邱党とは?
近年では珍しいペンホルダーの使い手で、昨年の香港オープンでは台湾の荘智淵(チュアンチーユエン)を倒すなど、活躍を見せています。パリ五輪に向けて着実に実力をつけてきており、世界ランキングも現在48位と50位以内につけています。
卓球強豪国ドイツのナショナルチームで、より高みを目指して卓球に打ち込んでいる邱党。そんな彼のプロフィールを見ていきましょう。
プロフィール
邱党は1996年10月29日生まれの23歳です(2020年3月時点)。父親はリオ五輪時に水谷隼(木下グループ)のプライベートコーチを務めるなど名指導者として知られ、現在はTリーグの木下グループの総監督としてチームを牽引している邱建新氏(キュウジェンシン)です。卓球は父親である邱建新の影響で6歳から始めました。現在でも父から卓球について専門的なことからプレーの方針まで、幅広くアドバイスを受けることがあり、そのアドバイスを取り入れたりしているそうです。
2017年12月からデュッセルドルフに拠点を移し、ドイツのナショナルチームのメンバーとして卓球メインの生活を始めました。現在はドイツ・ブンデスリーガのグリューンヴェッターズバッハに所属しています。グリューンヴェッターズバッハはブンデスリーガ・第16節では7位でした。しかし1月4,5日に開催された2019/2020シーズンドイツカップでは邱党が決勝で単複で2得点を挙げる大活躍を見せ、大会初優勝を果たしチームに大きく貢献しました。
また昨年はドイツ選手権大会でシングルス3位に入賞し、世界選手権への切符を初めて手にしました。全3種目での出場を果たし、シングルスでは初戦で林昀儒(リンインジュ・チャイニーズタイペイ)に敗れたものの、ニーナ・ミッテルハムと組んだ混合ダブルスではベスト32という結果でした。
プレースタイル
現在では希少な右ペンホルダーのドライブ主戦型の選手で、父の影響でペンホルダーを選んだそうです。サーブからの立ち上げは主にフォアハンドで回り込んでラリーに持ち込むことが多いです。しかしそこからのラリーでは裏面も多用しており、裏面は打点が速くバックドライブは回転量があり、球に伸びがあるため、裏面で得点することもしばしば見られます。
今のペンホルダーはフォアだけでなく、バックハンドも上手くないと勝てないという考えの下、裏面を得意とする香港の黄鎮廷(ウォンチュンティン)を参考にバックハンドに取り組んでいるそうです。
裏面打法は最初はバックに来た下回転系のボールに対してバックハンドドライブをかけるために使用していたとされていますが、現在ではシェークハンドのバックと遜色ないほどの技術として発展しています。特に中国の王皓は裏面打法を駆使し、現役時代はバックハンドを強力な武器として世界で戦っていました。また現役選手では先ほど述べた黄鎮廷が裏面を得意としています。中国の許昕(シュシン)はフォアハンドと強靭なフィジカルによるフットワークが持ち味というイメージがありますが、裏面でのチキータレシーブも得意としています。
使用用具
邱党の使用ラケットはバタフライの「インナーフォース レイヤー ALC.S – CS」のようです。また、ラバーはフォア面にバタフライの「ディグニク09C」、裏面は「テナジー05ハード」を使用しているようです。
世界ランキング
邱党の世界ランキングは48位(2020年3月時点)です。ここ1年程は60~100位の中で推移していましたが、一気に順位を上げてきています。
国際大会での主な戦績
2018年 | ドイツ選手権大会 | ダブルス優勝 |
2019年 | ドイツ選手権大会 | シングルス3位 |
ドイツ選手権大会 | ダブルス優勝 | |
ジャパンオープン | ダブルス準優勝 | |
ドイツオープン | ダブルス準優勝 | |
2020年 | ITTFチャレンジ・ポルトガルオープン | シングルス優勝 |
まとめ
男子のチーム世界ランキング2位(2020年3月時点)の卓球強豪国であるドイツで、若手として着々と実力を上げながらパリ五輪を狙う邱党。ドイツの皇帝と呼ばれるティモ・ボルのように、息の長くトップレベルで活躍できる選手となっていくのか、今後の邱党に期待がかかります。